転がるイシあたま

医療系の雑談ブログです

「転倒させられた」

 リハビリテーション医学に従事していると、「転倒→骨折→手術」というコースをたどってこちらにたどり着く人がけっこうおられます。で、どこで転倒したかと言えば、自宅、介護施設、道路、公共交通機関、公共施設など、転倒しやすい高齢者が存在する場所はほとんどすべて網羅されています。
 で、ご家族が「あそこで転倒させられた」と不満を述べることが多いのが「介護施設」。他の場所で転倒した場合にはそんな不満をこちらに言われることはまずありません。
 もちろんその施設の構造が転倒しやすいように意図的になっているとか、スタッフが悪意や不注意で利用者の転倒を明らかに有意に増加させている、だったら「転倒させられた」は“正しい言葉"と言えるでしょう。だけど「事故」としての転倒は、どこでも起きるし置きやすい状況ではもっと起きます。そして、高齢者、特に認知症が入った高齢者の場合には「環境の変化」「不慣れな環境」は「転倒が置きやすい状況」の一つです。すると「老人施設への入所」や「ショートステイの利用」は、それだけで転倒リスクを増加させることになります。
 つまり「転倒をさせよう」ではなくて「転倒をさせないようにしよう」と頑張っている施設でも、転倒は起きます。「事故」の確率は「事故」の確率で厳然と存在します。もちろんそこのスタッフが後ろから突き飛ばした、というのだったら大声で「転倒させられた」と絶叫する“価値"はあるでしょうが。
 「絶対に転倒をさせてはならない」と主張する人はたとえば「ベッドに縛り付けていたら転倒はしないはずだ」とか主張するのかな? でもそれは人権侵害なんですけどね。

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